100万本のチューリップ(短編)
『…ってまさか、今日すぐに行くつもり?』

淳は頷いた。

『焦るなよ。まずご飯食べてゆっくりしよ?』

「…え?」

『気持ち乱れたまま行くなよ。たまには一息つかないと倒れるぞ。』


和也は無理矢理淳をカフェに連れて行った。


多分淳は食欲なんかあまり無い。

軽食で、また静かで、落ち着ける所…

だからカフェが一番いいと思った。


カフェに着いても淳はコーヒーしか飲もうとしない。

和也が頑張ってパンを勧め、小さなパンくらいは何とか食べた。

これと言って会話は無く、和也が話しかけても
小さな返事を1つか2つするくらいだ。


それでも乱れた気持ちは少しは安定したかもしれない。


静かに時間は流れる。

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