100万本のチューリップ(短編)
『淳!起きろ!』

和也の声で淳は目を覚ました。

「………。」

『大丈夫か?』

「…あぁ…。」

『もう着くよ。』

「え?一時間も経った?」

『経ったよ。…夢は?』


淳はなぜかこの時は、息も切れてなければ汗も流れていない。

それどころか
今までの疲れが無くなってしまったかのような感覚だ。


「…いや…誰かが後ろから肩を叩いてきた。そこで目覚めた。」

『あの女の子?』

「顔見てないけど…多分そうかも。」


夢を見れば見るほど
女の子は淳に近付いて行く。


(女の子は、淳を見つけたって事なのか?)


和也はそう思ったが口には出せず、

そして電車は駅についた。


『降りるよ。』


本当にこの100万本のチューリップ畑に少女がいるのか…


2人は不安を抱えながら、歩き出す。

< 32 / 52 >

この作品をシェア

pagetop