100万本のチューリップ(短編)
『私もここで霊を見てから、成仏させようとな…してきたんだが、
別に今まで何も悪さしなかったから、そのままにしておいたんだよ。
ただな…
こうなってしまったから成仏させるしかないな…。
明日にでも担当の霊能者でも呼んでみるか…。』


「成仏…させるんですか? 可哀想だ…。」

『このままだとお前の命を奪われるぞ。
あの子はもう死んでいるんだ…。
余計な感情は持つな。』

「……。」

『今日はもう夜遅いからな…明日の朝にもここから出なさい。』


そして老人は
部屋を出ようとし、
最後にもう一度2人を見つめ、


『外に出てはいけない。分かったな?』


そう言い残し、老人は部屋を出た。


静まった部屋。


小さなタンスと
小さなテーブルと
2つのベッドだけがあるこの部屋に

2人は何も会話する事なく、
しばらくの間
動けずにいた。
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