100万本のチューリップ(短編)
彼女は

この世の者じゃない


「……。」


時間はしばらく少女を見つめた後


力いっぱい

彼女を引き寄せ抱き締めた。


この時

体が震えていたのは

霊に対する恐怖でもなく
寒さのせいでもなく



悲しくて

涙を精一杯堪えていたからだ。

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