CoNVENiENCE#STORE
柴田篤は、並んだ弁当の中から一つ取った。
大きめの人参や蓮根、絹さやが鮮やかな煮物の弁当だった。
しかし、そこには値段が書かれていない。
バーコードもついていない。
「…えっと…」
柴田篤は困ったように、少女の様子を伺う。
…物凄く法外な値段を吹っかけられたらどうしよう?
柴田篤の顔に不安の色が浮かぶ。
しかし、相変わらず無表情な少女が口にしたのは、意外な言葉だった。
「…お金は要りません。
…代わりに、そのハンカチをください…」