CoNVENiENCE#STORE
「あ、ああ」
時任渉は、差し出された煙草の箱を掴む。
その手は少し震えていた。
少女が見つめる中、時任渉はパッケージを破く。
銀色の紙を剥がすと、鼻に煙草のにおいが届く。
ゆっくりとした手つきで、一本だけ取り出すと口にくわえた。
それから、スーツのポケットから、ライターを取り出す。
緑色の、安っぽい百円ライターだった。
…かちり。
まだ、震えている手でライターの火を起こす。
しゅっとガスが出る音がして、オレンジ色の炎が出る。
それを口元の煙草に持っていく。
震えの所為か、なかなか火がつかない。
…ジジ…。
しかし、やがて煙草に巻いてある紙が燃え始め、紫煙が立ち昇った。