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無言のまま、時任渉は少女を見る。
くわえたままの煙草は、灰が長くなって今にも落ちそうだった。
やがて、視線の先の少女の唇がかすかに動く。
時任渉はごくりとつばを飲み込む。
その音が、嫌に大きく響いた気がする。
「対価は、そのライターだ」
少女は、時任渉を真っ直ぐ指差して言った。
「…へ?」
指差された視線の先には、しっかりと握られた緑色のライターがある。
時任渉は思わず拍子抜けしてしまった。
「ライターって、これただの100円ライターだぞ」