CoNVENiENCE#STORE

無言のまま、時任渉は少女を見る。

くわえたままの煙草は、灰が長くなって今にも落ちそうだった。


やがて、視線の先の少女の唇がかすかに動く。


時任渉はごくりとつばを飲み込む。

その音が、嫌に大きく響いた気がする。


「対価は、そのライターだ」

少女は、時任渉を真っ直ぐ指差して言った。


「…へ?」

指差された視線の先には、しっかりと握られた緑色のライターがある。

時任渉は思わず拍子抜けしてしまった。


「ライターって、これただの100円ライターだぞ」


< 32 / 153 >

この作品をシェア

pagetop