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「ねえ、迷子ちゃん」

少女は甘えてくる黒猫を両手で抱きかかえ、目線の高さまで持ち上げる。


黒猫は興味津々で、少女の顔を覗き込む。

少女は黒猫の金色の瞳に映りこむ自分の白い顔を見た。


それから、少し目を伏せて呟く。


「…ここに貴方の望むものはない」


突き放すように、冷たく。

だけど、その時の少女の顔は、いつもと違う。


すこしだけ、辛そうな、寂しそうな顔。





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