不良な叔父と強気な姪



「風都」


人だかりに向かって叫ぶ。

その瞬間教室内の皆がざわざわと騒ぎ出した。


「誰だよ」


そのざわつきの中から、明らかに“機嫌悪いです”って感じの声がした。


風都の周りに溜まっている人達をよけて、後ろに立つ。







すると、気配を感じたのか、後ろに振り返ろうとする風都。


「ふーう」


後ろに振り向き終わる前に、ガバッと抱き着いた。


「お弁当持ってきたよ」


抱き着いたまま、目の前にお弁当を掲げるあたしに、風都はにこっと笑う。


「サンキュー。弁当忘れてどうしようか迷ってたんだ」


嬉しそうにお弁当受け取る風都に、ぎゅーっと力を込めて抱き着く。


それに対して、何の反応も示さない風都を、皆が囃し立てる。


「お前ロリコンか?」


「は?」


「とうとう小学生にまで手をだしたか」


それを、風都に抱き着いたまま、クスクスと笑いながら眺める。



< 17 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop