桜の木の下で -2-




お風呂から上がって寝室に行くと、先にお風呂に入った先輩がベッドに寝そべりながらバスケの雑誌を読んでいた。



…先輩の横顔ってきれいだよなぁ……



最近目が悪くなってきた、と先輩は勉強するときや本を読むときは黒ぶち眼鏡をかけていた。…先輩の眼鏡姿を見るたびに胸がきゅんとする。



ぼーっと見惚れていると、ふっと急に先輩が顔を上げた。



ビクッと一瞬身体が震える。



先輩は優しく微笑むと、



「……おいで」



と、サイドテーブルに雑誌を置きながら自分の隣をポンポンと叩いた。



「………はい」



大人しく従い、ベッドに腰かける。するといつも決まって先輩はわたしの髪に指を通す。



「……優希」



「ひゃあっ」



急に後ろからぎゅっと抱き締められ、身動きが取れなくなった。



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