人生の足跡
第1章  出会い
彼と初めて出会ったのは、私が大学の3回生のときだった。
 まだ、サークルやバイトばかりで勉強よりも遊ぶことがメインで、大学に通うのは友人に会うためで、講義を聴くのは卒業するために仕方なく・・・
そんなキモチで通っていたから、大学に居る時間よりも、講義が捌けた後の時間が大事だった。バイトするのは遊ぶためのお金が欲しいからで勤勉努力のため、なんかじゃなかった。家に居る時間よりも、外に居る時間の方が断然多く、終電ぎりぎりで家に帰るときはまだ良い方で、車を持っている友人や、友人の彼氏に送ってもらって午前様、なんてのもしょっちゅうで、下手すれば外泊後そのまま友人の服を借りて大学へ、と言う日も多々あった。毎日楽しくて楽しくて、友人に彼氏が居ても、自分には別に必要ないや。と思うほど、ほとんどがグループだったので彼氏が居なくても、寂しいと思うことはなかったけれど、友人から見れば寂しそうだったのか、可哀そうと思われていたのか、私が邪魔だったのか・・・
なんて事を言ったら申し訳ないけれど、友人の彼氏の友達を紹介してもらうことになった。
 彼の第一印象は、「なんて印象の希薄な人」ということでは判りにくいと思うけれど、紹介された日は、皆が冷やかし半分に二人だけでデートして、お互いの人となりを見て来いよ!という話になって、まるでお見合いみたい!と文句も言いつつ、二人で出かけたのは良いけれど、デートが終わって自宅に送ってもらったあと、どんな話をしたのか、どこへ行ったのかも思い出せないほど、印象のない一日だった。
 彼の印象はあまりなかったから、紹介してくれた友人には悪いけれど、正直に言って「お断り」をどういう風に言えばいいか、なんて事ばかり考えていて、友人に会うこともちょっと億劫になってしまいそうになっていた。そんな頃友人の彼から、「あいつがさ、また会ってお喋りしたいって言ってるんだけど」と言う連絡が入り、優柔不断な私は、友人カップルを含めた4人でなら会ってもいいよ、と返事をしてしまった。
 
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