先輩とあたし
いつもほんわかなお母さんが威厳を漂わせたとき、それは本気の時。
つまり本気でタラシ先輩を家に泊めようとしてるってこと。
そして今ここにタラシ先輩を呼ぼうとしてる。


なんとなく会いたくない。
なんとなく。
この間あったときは、サラっと告白されたような気がするし、何より襲われる危険がある。
お母さんは先輩がタラシってこと知らないから、さらに危険な気がする。
身の危険を感じてブルっと身震いすると、お母さんは「風邪ひいたの?」なんていってくる。
処女を守るしかないと、全てをあきらめて、あたしはソファに座りなおした。


「じゃあ、呼んでくるわね」

そぉやって、ルンルンと玄関のほうへいった。


「母さんのひらめきには、毎度毎度驚かされるな」

「ホントだな、健兄」

「あたしの部屋にするって言ったときは心臓止まるかと思ったよ」

「だからってあたしにとばっちりを飛ばすのはやめてよね」


お母さんとタラシ先輩が来るまでの間、あたしたち兄弟は今言われたできごとについて一斉に話始めた。

「そいつってどんな感じなんだ?」

あたしが「タラシだよ」って言ったら、お姉ちゃんも頷いて、健兄と雄輔は「なら俺らと一緒だな」って言ってた。


そこで兄弟たちがタラシだってことをはじめてしった。
タラシなのかよ、確かに一緒にいる女の子いっつも違うな…
お姉ちゃんはラブラブすぎて引くほどの彼氏がいるし…
もしかしてあたしだけ?
あたしだけ、恋愛経験なし?
雄輔にも負けるなんて、姉としての威厳なしだよぉ
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