先輩とあたし
リビングにも先輩の姿はなかった。
やっぱりどこか、ションボリしてるあたしがいる。
何なんだ、何かあたしおかしい
どっか壊れてる。
何してても先輩のことを考えてる気がする
排除しようとしてもできない
何これ
先輩症候群ってヤツ?
どうしよう
何なの?どうしたらいいの?



ご飯食べながらあたしがそんなこと考えてるなんてまったく想像してないだろう家族たちは今日あったことを話してる。


雄輔は今日また告られたとか、お兄ちゃんは合コン行っただとか、お姉ちゃんは万引きを捕まえたとか。
武勇伝がいっぱいある兄弟たちと違って平凡ちゃんなあたしは、変な病気にかかってしまったみたい。


「葵は今日なんかあった?」

ふいにお母さんが質問してきた


「なんかさ、あたし、病気かも」

「「「「は ?」」」」


「なんかさ、ある人が頭からこびりついて離れないんだ。ずーっとその人のこと考えてて、おかしいのあたし」

思い切って悩みを家族に打ち明けてみた
ちなみに今日はお父さんもいます。


みんなあたしの話を聞くなりひそひそ話をはじめた

母(あの子ってもしかして、恋愛音痴だったりするわけ?)

姉(うん、そういえば浮いた話とかないわ)

兄(葵ってモテてるんじゃなかったっけ)

弟(姉ちゃん、地味に天然だからな)

父(葵ー恋なんてしないでくれよー)

「ちょっとー人の悩みに答えてくれないのー?」

「もう、あたし言っちゃうわ、」


デデンッと立ち上がったのはお姉ちゃん

「なっなに、病名とか言っちゃったりするわけ?」

「あんたの病名は、ズバリ」

「ズバリ…?」

冷や汗が流れ落ちた

「恋、そう恋の病よ」

「こ…い……?」

「アンタはその頭から離れない人に恋してんのよ」

恋…あたしが…先輩に…
なんだって??


信じがたい衝撃の事実にびっくりして、口を開けたまんまポカーンとしていた。
< 40 / 65 >

この作品をシェア

pagetop