先輩とあたし
近い、近いよ。
ドキドキして意味わかんない心臓を止めたいって切実に思う。
てか、掴まれてる手がすっごい熱い。
そこ部分だけが異常に熱くなってくる。
あぁ、もうなんでこんなに好きなんだろう!!
先輩の顔を直視できなくて、俯いてると
「ねぇ、なんで?」
なんて不安げな声で聞いてくる先輩。
もう、これ以上あたしをドキドキさせないで欲しい。
好きだからに決まってるじゃん!!
先輩が気づくとは思えないけどさ。
「顔あげないと、ここでキスするよ」
耳元でささやかれて、勢いよく顔を上げれば、にやっと口角を上げる先輩がいた。
「ふっ」
「先輩、あの、じゃあ」
てんぱってあたしは何も言わずに逃げてしまった。
せっかく会えたのに何してんだ!!
後悔したって後の祭りで、走り出してみれば、止まらなかった。