『若恋』若の嫉妬【完】
若、嫉妬する
何日かに一度、りおに渡した携帯電話の着信が鳴る。
着信音は古いがハウンドドッグの有名な曲だ。
「あ、樹?」
りおが嬉しそうに携帯に出るのが気にくわない。
小学校からの腐れ縁だとりおは話してたが、女からの着信はひとりもないのに、樹っていうヤツからはよくかかってくる。
「え?文化祭の買い出し?」
「うん、行くよ。」
「で、待ち合わせは何時?」「うんうん、迎えにきてくれるの?」
「わかった。待ってるね」
ピッ
電話を切り、携帯を無造作にサイドボードの上に置いた。
「学校の友達か?」
聞くとりおがソファーに座りながら笑った。
「同じクラスの樹だよ」
その名前は聞きたくない。
わけもなく腹が立つのが自分でもわかる。
樹という名のすべての男を殴ってやりたい。