『若恋』若の嫉妬【完】
若、嫉妬する




何日かに一度、りおに渡した携帯電話の着信が鳴る。

着信音は古いがハウンドドッグの有名な曲だ。



「あ、樹?」

りおが嬉しそうに携帯に出るのが気にくわない。

小学校からの腐れ縁だとりおは話してたが、女からの着信はひとりもないのに、樹っていうヤツからはよくかかってくる。



「え?文化祭の買い出し?」
「うん、行くよ。」
「で、待ち合わせは何時?」「うんうん、迎えにきてくれるの?」
「わかった。待ってるね」



ピッ


電話を切り、携帯を無造作にサイドボードの上に置いた。




「学校の友達か?」

聞くとりおがソファーに座りながら笑った。


「同じクラスの樹だよ」



その名前は聞きたくない。
わけもなく腹が立つのが自分でもわかる。

樹という名のすべての男を殴ってやりたい。



< 1 / 36 >

この作品をシェア

pagetop