『若恋』若の嫉妬【完】
転ばないように気をつけてゆっくりとソファーに腰かけて。
大好きな玄米入りの抹茶をマグカップにいれて啜る。
「クラスの出し物でね、眠れる森の美女をやるの」
「もしかして…りおがその王女役なのか?」
まさかと思って聞いてみる。
「うん、そのまさかなの。だから安いので白い服を用意しなきゃいけないからイトヨーへね」
眠れる森の美女の王女役ってのはどういうのだ?
王女が生まれた時に確か宴に呼ばれなかった魔女が怒って…その後はどんな話だったか?
思い出そうとしても思い出せない。
「三人でドレス選びにいくの。樹が王子様役でね。もうひとりの郡司もね、王子様役なの」
「…王子はふたりもいたのか?」
「いないよ。普通の物語はひとりだけだよ。これはコメディー劇なんだもん。だからふたり王子なの」