『若恋』若の嫉妬【完】
「ふーん、コメディーなんだ」
「王女さま役なんてできないって樹に断ったんだけどね。どうしてもってお願いされて。それにただ眠りについてるだけの役で動きはないし」
「そうなのか?だったらいいが」
だったらいいってわけない。
キスシーンだぞ。真似事でも許したくねえ。
それに樹がどうしてもって言っただあ?
そいつは絶対にりおを狙ってんじゃないか?
怪我してまだリハビリ中な身だぞ。
転んだりしたらどうする。
「文化祭にはお母さんも見に来るって言ってたんだけど、奏さんも来てくれたら嬉しいな」
りおは楽しみにしてるらしい。
王女さま役の服をイトヨーに見に行くのってニコニコしてる。
それが無性に腹が立つ。
「奏さんも榊さんもお仕事忙しくなかったら来てくれたら嬉しいな」