懐古の街
ジュワーッ!
秋刀魚から、脂が赤く燃え盛る炭に落ちて、焼ける音と、良い匂いの煙りが立ち上って行く。
脂が乗っていて相当いい秋刀魚らしい。
皐月さんが見定めただけあって、見るからに美味そうに焼けて行く。
秋刀魚の匂いに、釣られたのか、いつのまにか、一匹のネコが塀の上から俺達二人を見ていた。
「近所の野良猫か、なんかかな?焼き魚の匂いに釣られて来たみたいだね。」
俺がそう言いながら皐月さんを見ると、皐月さんは驚いたような顔をして、その猫に話しかけていた。