懐古の街
俺はガクリと肩を落として、蛤を網に乗せてって焼いていく。
「蛤もいっぱいあるから、食べて行くていいべな。揚げダシ豆腐の おろしあんかけと蛤のみそ汁も作るべな。」
「ニャーーーー!!!あちきのご飯は、おかかご飯にして欲しいニャーーーー!!!揚げダシ豆腐のおろしあんかけには、しらすを入れて欲しいんだニャーーーー!!!」
注文多っ!!!
ご馳走して貰う立場でありながら全く遠慮する事を知らない美猫に愕然とする俺…。
「美猫さの好みは、わがってるべな。乾物屋と魚屋でおかかもしらすも買ってあっから、たぐさん入れてやっぺな。」
「ニャーーーー!!!流石はさっちゃん!!!あちきの好みに合わせて、昔一緒にあちきのご主人様と買い出しに行った時に魚を買う癖が抜けてないんだニャ!!!おかかとしらすをいっぱいいっぱいかけて、かけてニャーーーー!!!」
キラキラと大きな金色の目を輝かせながら、ハッスルしている美猫を尻目に俺は黙々と開いた蛤を皿に移し替えていた。
今夜の夕飯は賑やかになりそうだった。