懐古の街


「颯太さっ! 揚げ出し豆腐が焦げてるんだべっ!
 はやく 火さ止めねぇとあぶねぇだよっ!」

「ああっ!ごめ…ぼんやりしててっ!
 火を消してとっ…。って皐月さん!
 みそ汁!みそ汁噴いてるっ!」

「あああああーっ! やっちまったっ…!
 早く火さ止めねえとっ! …あっつっ…!!!」


あわてふためきながら、火を止めて、鍋を取ろうとして皐月さんは膝に熱湯を引っかけてしまい、眉をしかめる。


「皐月さん! 後は俺がやるからはやく、風呂場に行って
 冷水で足冷やしてきてっ! 痕が残ったら大変だからっ!」
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