懐古の街
俺はそういいながら、皐月さんの手をとって風呂場まで引っ張って行き、浴室に彼女を押し込めてから蛇口を捻って彼女の着物を捲くり上げて、流水でしばらく冷やしておくように、念を押してから、台所に戻って後始末を手早く終わらせて、棚の上に置いてある救急箱から包帯とガーゼと軟膏を取り出して、皐月さんがいる浴室に向かった。

そろそろ、火傷も冷えて、包帯を巻いても大丈夫な頃だろうか…。

火傷を冷やし終えて浴室にへたり込む皐月さんの足を見る。





結構赤くなって腫れてきているみたいだ。

早く薬を塗ってやらないと痕になって残ってしまうだろうか。


「皐月さん、足出して。薬塗るから。」

「…んだば…面倒掛けですまっで悪いごとしたべな…。」


皐月さんが申し訳なさそうに、そういって着物を捲くり上げて俺に足を差し出した。
< 27 / 32 >

この作品をシェア

pagetop