懐古の街
こんな時に不謹慎なのだか、皐月さんの足の間にちらりと見える下着についつい目がいってしまって邪念に狩られそうになる思考を振り切って皐月さんの真っ白なふとももに軟膏を塗り込んでから、ガーゼをあてて、クルクルと包帯を巻いて、火傷の手当てをしていった。
「…と、これでよしっ!皐月さん、もういいよ、足を下げても。」
「あ…ありがとうだべ…。わだすも大概そそっかしくてやらかしてしまうだべなぁ…。颯太さに気を取られて、自分が怪我しちまうなんて…。」
「そんなことはないよ。凄い料理してる時の手際もよかったし…。皐月さんは良いお嫁さんになれるよ。」
俺にそう言われた皐月さんは、頬を薄い紅色に染めて、指先をモジモジさせながら俯いた。
「…お嫁さんに、貰ってくれるだか…颯太さが…。」
「さ、皐月さん…?!」
皐月さんみたいな、女性が俺のお嫁さんになってくれたら、そりゃあ、嬉しいんだけど、いきなりそんなことを言われるとは予想だにしていなかった俺も、頭の中身が茹だってなにがなんだかわからなくなってパニクってしまっていた。