空を見上げる君
『ごめん…』
涙声になった篥明──
泣いてる。
私の前じゃ絶対に泣かなかった篥明が。
「いいよ。私も篥明の事、好きだよ。
だけど、それ以上に大好きな人がいるの」
私はそう言いながら篥明の背中に顔をくっつけた。
小さい頃はよく私を守ってくれていた小さな背中だったのに、今は大きい。
私なんて簡単に隠れてしまう。
私は篥明が好きだったのかもしれない。
毎日日が暮れるまで遊んでたよね。
すごく楽しかったの覚えてるよ。
『優奈…』
「笑って?
篥明は笑顔がよく似合うから」
毎日私を笑顔にしてくれてたのは篥明の笑顔だったんだよ。
太陽より眩しい笑顔。
『わかった』
すると涙をふき、私にあの頃と同じように笑顔を見せてくれた。
篥明、嫌いなんて言ってごめんなさい。
私を好きになってくれてありがとう。
ごめんね?
好きだよ。