空を見上げる君


『ごめん…』



涙声になった篥明──


泣いてる。


私の前じゃ絶対に泣かなかった篥明が。



「いいよ。私も篥明の事、好きだよ。
だけど、それ以上に大好きな人がいるの」



私はそう言いながら篥明の背中に顔をくっつけた。


小さい頃はよく私を守ってくれていた小さな背中だったのに、今は大きい。


私なんて簡単に隠れてしまう。


私は篥明が好きだったのかもしれない。


毎日日が暮れるまで遊んでたよね。


すごく楽しかったの覚えてるよ。



『優奈…』

「笑って?
篥明は笑顔がよく似合うから」



毎日私を笑顔にしてくれてたのは篥明の笑顔だったんだよ。


太陽より眩しい笑顔。



『わかった』



すると涙をふき、私にあの頃と同じように笑顔を見せてくれた。


篥明、嫌いなんて言ってごめんなさい。


私を好きになってくれてありがとう。


ごめんね?


好きだよ。



< 162 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop