空を見上げる君
場所を移し、本題に入る。
『あれ、嘘だったんだろ?
屋上に俺、偶然居たから聞いてた』
長々話されるよりこっちから言った方が早い。
長話は嫌いでね?
だから人の話しはよく聞かない。
『そうか。ごめん』
俺の前で大きく頭を下げた。
こいつ、ちゃんと言えるじゃん。
気に入ったよ。
『顔上げろ。もういいから。
それより美波は辞めろ、友達になろ?』
これは俺の素直な気持ちだ。
こんなにすんなり言えたのはいつぶりだろう。
『おう。霧斗、優奈を頼んだ』
『はぁ?』
『霧斗だけだ、優奈を幸せにできんのは』
篥明は俺の瞳を真っ直ぐみた。
まるで中に吸い込まれそうになるくらいに。
嘘のない目だ。
『任せろ!』
『ありがとな』
お礼なんて言われる筋合いないのに。
まあ、心のモヤモヤが1つ消えたからいいか。
─霧斗side─ E N D