生徒会のプリンス

七海は満足そうな笑顔を浮かべて、俺が巻いてやったタスキに目をやる。





「……で、俺の部屋の掃除が終わったら、疲れてベッドで寝ちゃったってわけか。」






「……うん、そうみたいだね。ごめん。」






「……まぁ、いい。」






俺がそう言うと、七海は驚いたような表情を浮かべた。






「どうした?」





「いや、慎哉のことだから、絶対に怒ると思ったから……」





「なんだ、怒られたかったのか。」






「いや、そういうわけじゃないけど……」






七海はあたふたしだした。





「……今更怒っても、時間は戻らないしな。それに、お前がよだれたらしながら寝てた、間抜けな寝顔も見られたし、俺は満足だ。」






「え……よ、よだれなんかたらしてないもん!ていうか、寝顔なんか見ないでよ!」





「仕方ないだろ、お前が寝てたんだから。それに、お前だって俺の寝顔、何回も見てるだろ。」






……思わず、笑みがこぼれる。着飾った笑顔でも、作った笑顔でもない。





自然な笑顔だ。





……何か、今すごく幸せだと感じた。

< 205 / 260 >

この作品をシェア

pagetop