生徒会のプリンス
「でもさ、俺はいいけど、お前は楽しみたいよな。」
「え……?」
慎哉はそう言って、今日幾度となく見せている無邪気な笑顔で私を見た。
「探すのはついでにして、学校の中を案内してやる。」
「案内?」
「あぁ。入学してから、まともに学校の中を歩いたことなんかなかっただろ?いい機会だから、あちこち見て回るか。」
慎哉の表情は、今まで見てきた表情の中で一番柔らかかった。
まるで初めて遊園地に来た子どもみたい。
私は思わず吹き出してしまった。
「……何がおかしいんだ?」
「あ、うん……何でもない、ごめん。」
私も自然と笑顔になり、慎哉の横を歩いた。