生徒会のプリンス

「ほらぁ、南の島に行くでしょ?その時に、天空苑に泊まるでしょ?その時に、お見合いしろって……」





「お見合い~?」





私は思わず、大きな声で叫んでしまった。






「なぁんだ、そんなことなの?いいじゃん、お見合いして~、付き合って~、結婚しちゃえば?」





秀はそんなことをいつもの笑顔で言い放っている。






「いやだぁ~。俺、里中食品の令嬢って嫌いなんだよー。」






「あぁ、僕もキライ。あの子、うっとおしいよね。」





「僕もあの方は苦手ですね。だからこそ、僕にお鉢が回ってこないように海斗さんと結ばれると嬉しいんですが。」





「いやだぁ~。俺は政略結婚じゃなくて、大恋愛で結婚したいの~。」






……初めて、ほんの少し、本当にほんの少しだけ海斗のことがかわいそうに思った。





お金持ちにはお金持ちにしかない悩みもあるんだね。



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