【短編】涙を見せない彼女
大切な彼女
今、知花子の部屋の前。
さっき言われた麻湖ちゃんの言葉が耳に残っている。
『昨日、知花子はずっと泣いていました』
知花子が泣いていた?
あんなに笑顔だったのに・・・
俺の前では一粒も涙をこぼさなかった。
インターフォンを鳴らしてみても反応は無い。
麻湖ちゃん、知花子がしんどそうだったって言ってたから心配になる。
だから、いつか貰った合鍵で入ることにした。
「知花子?」
部屋はカーテンも閉まってて暗い。ベッドに知花子が寝ているのがすぐ分かった。