不良少年と友達から
「遅い~」
なかにはいると唇をとんがらせて主張する千草がいた。
しょうがなく下へ降りてオレンジジュースをあげると機嫌はすぐになおった。
…何でもオレンジジュースは昔からの大好物らしい。
そのあと千草が、私がかまってあげなくなった受験期から溜まりにたまった話したいことを爆発させたので気づくと5時近くになっていた。
「あ!そだ。古城淳(コジョウジュン)って知ってる?」
なにか面白いことを思い出したように笑う千草に首を振る。
「あ~、好実ちゃんこういう話題疎そうだよね」
ギロッと睨み付けると焦ったように話し出した。
「えっとね、古城淳は最強とまで言われる不良なんだよ。なんか一匹狼でクラスのこがかなりのイケメンって話してたの。伝説ぽくない?」
興奮したような千草の語りに一瞬、今朝の不良を思い浮かべてすぐに消す。
「でも、そんな人となんか関わりなさそうだよね」
そういうと待ってましたとばかりに食いついてきた。
「古城淳はうちの学校、それも同じ学年なんだって!」
目を輝かせる千草。
要するに興味があるんだ。
はいはい、と受け流そうとすると千草は表情を一変させた。
「“あいつ”が狙うかも。」
低くいい放った言葉に衝撃をうける。
また“あいつ”だ。
「じゃあ愁真は!?」
「まだ仮定だよ。」
すぐに表情を和らげて千草は腰をあげた。