不良少年と友達から
だから高校は一転、難関校を選び無事入学……なのに、“あいつ”は金にものを言わせて入ってきた。
妖艶な“あいつ”のリップグロスが塗りたくられた唇の端が上がるのが目に浮かぶ…。
唇を噛みながら目を開けると眩しいほどの朝だった。
「好実ちゃん、朝だよ」
ひょこっと妹の胡桃(クルミ)が可愛らしくドアの隙間から顔を出した。
「胡桃、おはよ」
「おはよう」
声をかけたとたんパアッと花が咲いたように笑う。
…私も胡桃みたいに素直だったらよかったのに。