私と俺と争奪戦
バンッと教室に叩いた音が響く。
幸いクラスはうるさくて、誰も私に目を向ける人はいなかった。
「優衣……?」
恐る恐る真理が聞いてくる。
私は呼吸を整えながら返事をした。
耳鳴りは収まった。
「大丈夫……大丈夫だから……ちょっとした発作があるの……」
とは言ったものの、真理は未だに私を恐ろしいものを見るような目で見てくる。
私は神谷翔を一瞥した。
翔がなぜそんなにも彼を憎む。
私には分からない。