私と俺と争奪戦
「説明しろって言われてもなぁ……ただアイツを一発ぶん殴りたかっただけの話だ」
翔は困ったように頭を掻いた。
私は翔の目の前に座る。
「なんでぶん殴りたいの?というかなんであの人にこだわるの?」
「んなモン決まってんだろ?俺の身体だからだ」
「翔の身体……」
反復する私に翔は頷いた。
「そうだ。俺がちょっと昼寝をしてるときにアイツが入ってきたんだよ」
「やはり昼寝ですか……じゃあ、神谷翔の中身は誰なの?」
「48歳のおっさんだ」
「……は?」
思わず聞き返す。