私と俺と争奪戦
「―――なぁ、そろそろ諦めたらどうだ?」
悪魔の誘惑。
「俺に全てを委ねろよ。悪いようにはしないぜ?」
私は耳を塞いだ。
「どうせお前も俺に助けてもらいたいって思ってるんだろ?」
すぐ後ろに気配を感じた。
肩にゆっくりと手が置かれる。
「うがーっ!!うるさい!!」
私は立ち上がって叫んだ。
「私はアンタの力無しでもやっていけるから!!だからとっとと出ていけ!!」
渾身の叫び。
しかし当の本人は何のその。
「出ていったところで俺に利益は無いだろ?」
不敵に微笑む彼。
私はため息をついて、彼に背中を向けて座った。