私と俺と争奪戦
夕暮れ
私が目覚めたとき、翔は何食わぬ顔で椅子に座っていた。
「起きたか」
そう声を掛けられるも、まだ頭はボーッとしていた。
「誰?48歳のおっさん?それとも本物?」
私は目を細めて彼をじっと見た。
そんな私の様子を見た彼はつかつかと歩み寄ってきた。
そしてそのまま私の頭をひっぱたいた。
「いたっ!!」
「まだ寝惚けてんのか?いい加減目ぇ覚ませ」
間違いない。本物だ。
教室に差し込むオレンジ色の夕日。
さっきも翔の顔を見たはずなのに、さっきとはどこか違っているような感じがした。