私と俺と争奪戦
神谷翔。
クラス人気ナンバーワン。
明るくて、優しくて、性格に傷がない。
ルックスだってカッコイイし、勉強だってできる。
恐らく彼を嫌いな人などいないだろう。
「そんなに翔君の事嫌いなの?」
「いや、嫌いじゃないけど……」
私の中にいる翔は自分の事を《神谷翔》と名乗っている。
でも、神谷翔は実際ココに存在している。
と言うことはどっちかが偽物ということになる。
「よくわかんない」
今は曖昧な返事をしておくのがいいだろう。