私と俺と争奪戦
「ふーん……変なの」
私は力無く笑った。
『―――アイツ、許せねぇ』
意識の深層で翔の呻く声が聞こえる。
それと同時に耳鳴りがする。
私は頭を抱えた。
「優衣……?」
「やめて……出てこないで……」
思わず声を漏らす。
真理が私の肩を掴んで揺すぶった。
「優衣!?大丈夫!?」
「やめて……お願い……」
『優衣、そろそろ俺に身体を譲れよ。大丈夫、俺に任せとけ』
三人の声が聞こえる。
今ここで身体を明け渡したら元も子もない。
私は真理の手を振り払って、自分の机を思いきり叩いた。