いつかはお兄ちゃんと、バージンロードを歩きたくて・・・
「ふんっ、早よ行けよ!!」


「うん・・・」


そう言って父親は雄志を睨み付けて
部屋を出て行った。



雄志は父親が部屋を出ていくのを確認して、
ホッと肩を撫で下ろした。


「大丈夫か?」


雄志はそっと楓花の肩に手を置いた。
楓花の体はブルブルと震えている。


しかし楓花の肩を持つ雄志の手もまた震えていた。


お兄ちゃんの手も震えてる・・・


「うん・・・お兄ちゃん、ごめん・・・」


「フッ、父さんにあんなこと言うなんて、
楓花はなかなか根性あるなぁ?」


そう言って雄志は笑った。


「へへっ。」


楓花もまだ震えが止まらない引き攣った顔で笑った。



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