いつかはお兄ちゃんと、バージンロードを歩きたくて・・・
「じゃあ行ってくるわ。」


「うん、いってらっしゃい。」


でも、外に働きに出るお兄ちゃんは
輝きを取り戻す、
生き生きとしてすごく楽しそう。

まるで鳥かごを抜け出した鳥のように・・・


外に働きに出ることだけが
お兄ちゃんの心を繋ぎ止めている。


働くことだけで精神を保ってるなんて
ちょっと悲しいけど、
お兄ちゃんに自由に使える
お金もないし時間もない。
働く時だけが唯一、
父から逃れられる時間なんだ。



お兄ちゃん・・・


そんな毎日でも文句一つ言わず
頑張ってるお兄ちゃんを見ると
胸が苦しくなる。


お兄ちゃん、私がついてるからね。
頼りない私だけど、
私がずっとそばにいるからね。


いつだって私のそばにいてくれたお兄ちゃん、
私を守ってくれたお兄ちゃん、
今度は私が守る番だよ、お兄ちゃん。


楓花は仕事に向かう雄志の背中を
いつまでも見送っていた。


< 17 / 309 >

この作品をシェア

pagetop