いつかはお兄ちゃんと、バージンロードを歩きたくて・・・
すると雄志は楓花と勝彦の後ろにいる人影に目をやる。


「奈緒子・・・なんで・・・?」


「楓花ちゃんと偶然会ってね・・・」


「そうか・・・」


雄志は奈緒子の連れた子供を
一瞬見てから目を逸らした。



そして父親はICUから検査室へと運ばれて行った。


「お父さん・・・」


不安そうに父親を見つめる楓花。
しかしそれとは対照的に冷静に父親を見つめる雄志。

父親が検査室に入るのを見届けてから
雄志は一人歩き出した。


「お兄ちゃん、どこに行くの?」


「ちょっと屋上に。」


そう言って雄志はその場を離れて行った。


お兄ちゃん・・・


そんな雄志の背中を見て不安になる楓花。


「楓花。」


そんな楓花の肩を勝彦はそっと抱きしめた。

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