いつかはお兄ちゃんと、バージンロードを歩きたくて・・・
「はぁ・・・」


屋上では雄志が空を見てため息を吐いていた。


「お兄ちゃん。」


「楓花・・・」


楓花は雄志の横にそっと寄り添い
同じように空を見上げた。


「楓花。」


「うん?」


「俺さ、正直今は親父の心配より店のこと、
借金のことを心配してる。
親父にもしものことがあったらどうしたらいいんだろうって。

店はどうなる? 借金はどうなる?って。
親父のこと気にせず、そんなことばかりが
頭の中をぐるぐると駆け巡ってる。

最低だよな? 親父が大変なのに・・・」


お兄ちゃん・・・


楓かには雄志の気持ちが痛いほど伝わって来た。


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