一人睨めっこ
『――んな事はどうでもいいでしょっ!!』

 真奈美の耳が真っ赤なのが見えた。

 そっか、俺――
 真奈美に……告白……された……。

 俺も耳が真っ赤になった。


 俺はっ…………。


 どうすればいいんだ?
 どうしたいんだ?
 どうするべきなんだ?


 俺は…………。


 学校ではおとなしいのに
 本当は気が強くて

 でも……弱くて

 たまに見せる涙の訳が知りたくて

 真奈美が自分の過去を話してくれた時

 守ってあげたい、って思った。


 この気持ちは、何と呼ぶ?


 俺は真奈美が
 俺も真奈美が


『あのさ』

「好――……え?」


 誰だ、俺が今大切な事を言おうとしたのに……割り込みやがって。

 割り込んだのは俺の声。
 まぁつまり……もう一人の俺なんだけど。

『何、ベタな少女漫画みたいな事してんだよ』

 少女漫画……そうなのか?
 まぁその疑問は一先ず置いといて。

『言っとくけど、お前は俺の一部になるんだからな! 心なんか無くなるんだよっ!』

 もう一人の俺が言い放った言葉は、妙に冷たく胸に刺さった気がした。
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