一人睨めっこ
「…………っ」
『どうしたのよ……』
「出来ない……」
俺は、呟いた。
『え?』
真奈美が聞き返した。
「俺は、こいつを……殺せない」
俺はそう言って、水の中から手を抜いた。
『何だよそれ……』
淳が唖然とした様子で俺を見た。
もう一人の俺の気持ち、分かるんだ。
だって、“俺”だから。
「それに――俺がこいつを殺しても殺さなくても、俺は消えるんだ」
殺したら魂の力が弱くなってその内消える。
殺さなかったら体を乗っ取られて消える。
『でも、もしかしたら消えない方法があるかもしれねぇじゃん!!』
「でも無いかもしれない。いや、無いだろう」
俺はきっぱりと言った。
「こいつは、体が欲しいんじゃない」
俺は洗面器の、もう一人の俺を指差して言った。
『馬鹿言うなっ!! 俺はっ――』
「体じゃなくて、人が欲しいんだろ?」
自分の存在を分かってくれる人。
一緒にしゃべったり出来る人。
気持ちを分かり合える人。
『どうしたのよ……』
「出来ない……」
俺は、呟いた。
『え?』
真奈美が聞き返した。
「俺は、こいつを……殺せない」
俺はそう言って、水の中から手を抜いた。
『何だよそれ……』
淳が唖然とした様子で俺を見た。
もう一人の俺の気持ち、分かるんだ。
だって、“俺”だから。
「それに――俺がこいつを殺しても殺さなくても、俺は消えるんだ」
殺したら魂の力が弱くなってその内消える。
殺さなかったら体を乗っ取られて消える。
『でも、もしかしたら消えない方法があるかもしれねぇじゃん!!』
「でも無いかもしれない。いや、無いだろう」
俺はきっぱりと言った。
「こいつは、体が欲しいんじゃない」
俺は洗面器の、もう一人の俺を指差して言った。
『馬鹿言うなっ!! 俺はっ――』
「体じゃなくて、人が欲しいんだろ?」
自分の存在を分かってくれる人。
一緒にしゃべったり出来る人。
気持ちを分かり合える人。