一人睨めっこ

二節 終焉

「淳も今までありがとう」

 俺は淳の方に向いた。

『何、今から死ぬみたいな事言ってんだよ……』

「お前こそ……泣きそうな顔、してんなよ」

 俺は笑おうとしたが、上手く笑えなかった。


『お前何するつもりだ?』

 もう一人の俺が、困惑した様子で言った。

「死ぬ」

 口にしてしまった。
 その言葉を。

『…………は?』

「俺ともう一人の俺が一緒に死ねば、こいつは一人にならない……」

『お前まじで言ってんのか? 俺……お前に今まで……』

「そうだな」

 思えば
 もう一人の俺に出会ってから、
 体乗っ取られるわ
 勝手に小テスト受けるわ
 後頭部殴られるわ
 幽霊に会っちゃうわ
 あだ名が発情期になるわ
 ………………

 何かいろいろあった。

 平凡で地味に歩んで来た今までが、一気に壊れた。

 ろくな事が無かった。

 全部、このもう一人の俺の所為だと思ってた……。

 でも、

「違う、よな?」

 お前は何も悪くなかったんだ。
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