一人睨めっこ
「はい真琴、手紙だよ」

 私はお墓に手紙を置いた。
 この中に、真琴が眠ってる。

『俺からも! こういうの苦手だけど頑張って書いたんだぜ』

 宮下も、隣に手紙を添える。

『いやでも、葛西まで死ななくて良かった。そんな事になったら真琴に祟られそう』

「何それっ」

 私は笑った。

 宮下はこうやっていつも、私を元気付けようとしてくれる。

「……ありがとう」

『礼言う所じゃないけど!?』

 宮下は少し照れながら言った。

「あはっ……、そろそろ行こうか」

 私はお墓に背を向けた。
 その行動さえが何となく寂しく感じられた。

『そうだな』

 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、宮下は優しく私の頭を撫でた。

 私は、歩き出した。

 二通の手紙が、青空の下仲良く風に揺られていた。
 
――完――
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