一人睨めっこ

六節 仰天

(目、瞑って)

 え?

 少し不安を感じながらも俺はそっと目を瞑った。

(ちょっと我慢しろよ)

 ……な、何を!!?

 そう思った時、不思議な感覚に襲われた。
 足が地に着いてないような、
 全身の感覚が無くなるような、

「!!!!」

 ほんの一瞬、意識が飛んだと思ったら――

(……ん?)

 ――目の前にあったのは、瞑る前と同じ、廊下の風景だった。

 でも、体が動かない。
 口から声が出せない。
 目を動かせられない。

「意識交換しただけだから、心配するな」

 もう一人の俺の声が聞こえた。

(どういう事?)

「簡単に言うと、俺とお前の立場が逆になっただけだ。今お前は俺の中に居る」

 ああ、立場逆転。
 だから体とかも俺の思うように動かせないって訳――

 ――っておい。

(こんな事して何しでかすつもりだよ!!)

「声大きい!! 頭に響いたっつーの」

 さっきのお前程じゃないさ。

「まぁ見てろよ、俺の実力を」


 キーンコーンカーンコーン…

 チャイムが鳴った。
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