一人睨めっこ
 ここは何処だ?
 真っ暗じゃないか。
 いや、“真っ暗”という言葉よりも“闇”という言葉が合っている。

 こんな闇の中に居たくない。
 早く出してくれよ。
 誰か。
 誰でも良いから。
 ここに居たくない。
 何故かここに居ると、嫌な事を思い出してしまう。

 自分にも分からない、嫌な事。
 思い出したくない、忘れてしまいたい、そんな事。

 だから、早くここから出してくれ――――。



「――――ぁあっ!!」

 俺は飛び起きた。

「っ……!?」

 飛び起きた時、後頭部がズキッと痛んだ。
 飛び起きてからも、ズキズキする。

「ん!?」

 ズキズキする後頭部を手で確認すると、小さなたんこぶが出来ていた。

 なんでだ?
 つか、ここは何処だ?

 後者の疑問はすぐに解決した。
 周りを見渡すと、誰かの部屋のようだ。
 俺が何度も来た事がある――

「――淳の部屋じゃん」

 あれ?
 あれれ?

 って言うか――何か忘れているような……。

「あ!」

 そうだ。
もう一人の俺の存在だ。
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