一人睨めっこ
 ピンポーンピンポンピンポーン

 何か凄い音がした。
 玄関のドアが開いた音……のようだ。

『うーるーさーいーっ!!』

 駿兄が叫んでいる。

『お、悪い悪い』

 誰かの声が聞こえた。

『もう! 借金取りかと思ったよっ』

『お前の家、そんなの来るのかよ』

『来ないよ?』

『…………おじゃましまーす』



『やっぱり優兄か……』

 淳が呟いた。

『今なんて――?』

 俺が聞こうとした時に、タイミング良く部屋のドアが開いた。

『……あ』

「…………」

 駿兄より少し背の高い、黒髪の男が居た。

『あ、こちらのナイスガイは優ちゃんだよー!!』

 駿兄が変な紹介をした。

『いや、ちゃんつけるな』

 おお、見事なツッコミ。

『北森優です、ども』

 その人は俺に向かいそう言って、軽く頭を下げた。

「……藤崎真琴です」

 俺も軽く会釈した。
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