一人睨めっこ

三節 変貌

『私、葛西真奈美です!! 真奈美って呼んで下さい!! 背高いですねっ!! 高校生さんですかっ?』

『え? ああ……高2……だけど』

 優兄は葛西の勢いに押され、冷や汗。

『優……』

 駿兄がそんな優兄を見ている。

『哀れみの目で見るなっ!!』

 優兄が叫んだ。
 そして優兄は助けを求めるように俺を見た。

 もしかしてこれって俺がどうにかしなきゃならないのか?

『まぁまぁ葛西、落ち着けよ』

 俺が口を開く前に、淳が言った。

 ゆ、勇者……!!

 葛西は淳に近づいて言った。

『黙れこのチビが』

 葛西はにっこり微笑んだ。

 怖ーーーーーっ!!!
 隊長っ!
 これはもう俺の手に負えません!!

 葛西はくるりとまた優兄の方を見た。

『名前なんて言うんですかぁーっ? って言うか高校どこなんですかぁ? やっぱり近くの東校ですかぁ? あっでも頭良さそうだしぃー、南校だったりして!』

 葛西のマシンガントークは止まらない。

 優兄……グッドラック。
< 37 / 130 >

この作品をシェア

pagetop