一人睨めっこ
『喧嘩売ってるの?』

『そんなつもりは無いんだけどなぁー』

『私売られた喧嘩は買う主義なの』

『偶然だね、僕もだよ』



「――なぁ、これ何とかならねぇの?」

 俺は小声で淳に言った。

『うーん……多分兄ちゃん、優兄取られたから相当キレてるね』

 淳も小声で答えた。

『…………俺!?』

 優兄が焦って言った。

『優兄が何とかするしか……』

「なぁ……」

 俺も淳に賛成した。
 ごめん、優兄。

『まじかよー!!』

 優兄はもはや涙目だ。

 だよなあ。
 魔女と魔王の争いを止めろって言ってるようなものだし。

 それでも優兄は二人におそるおそる近づいていった。

『あ、あのさ……』

『『何っ!!?』』

 二人揃って振り向いた。

 やっぱ怖い。

『えーと、えーと……』

 優兄は話す内容を考えていなかったらしい。

 頑張れ優兄!!

『あ! ま、真奈美ちゃんは何でここに来たの?』
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