一人睨めっこ

五節 疑問

「事情は何となく分かったけどさ――疑問点が数個ある」

『疑問〜?』

 今まで暇そうにしていた駿兄が会話に加わった。

「まず、結局このもう一人の俺って何者なんだろうか……」

 俺の中に居るし、俺の声。
 だけど、俺とは違う。
 そんな存在。
 一体何なのだろうか。

『うーん……はっきりは言えないけど、まー君が――』

「ちょっと待て」

 俺は話し始めた駿兄を一旦止めた。
 理由は――――

「何だよ“まー君”って!!」

『真琴だからまー君っ! いいでしょ?』

 駿兄は笑顔で言った。

「よ・く・な・い・!!」


『気を付けろ……俺も最初ゆっぴーってあだ名を付けられたんだ』

 優兄が俺にこっそり言った。

 ゆっぴーって…………。

『ねぇまー君』

「まー君って、呼・ぶ・な・!」

 俺は大声で言った。

『じゃあ何て呼べばいいのお?』

「真琴でいいよ!!」

 ああもう、さっきから話が脱線してばかりだ。
< 43 / 130 >

この作品をシェア

pagetop